野球をやっていたり、見ていたりすると、「右打者より左打者の方が有利」と聞いたことが一度はあるかと思います。
右打者も左打者も、投手から投げられたボールを打つという面では変わらないのに不思議ですよね。
ここ最近のプロ野球を見ていても、活躍している若手やドラフトの注目選手は左打者が多い印象があります。
日本代表の4番の筒香選手をはじめ、メジャーで活躍している大谷選手、日ハムの清宮選手、ソフトバンクの柳田選手もみんな左打ちです。
2018年のドラフト1位候補の野手を見ても、大阪桐蔭の根尾選手・藤原選手、報徳学園の小園選手は三人とも左打ちです。
もちろん、右打者の選手にもいい選手はいますが、一般的には左利きの人は全体の10%しかいない中、少し奇妙ですよね。
ということで、今回は野球における左打者のメリットと、最近、左打ちが多くなった理由を考察して紹介していきたいと思います。
目次
日本のプロ野球の左打者の割合は?
感覚的に最近は左打者の選手が増えたなとは思っていましたが、実際にはどれぐらいの割合なのか気になったので、2018年の投手を除く12球団の開幕スタメン計102人を対象に集計してみました。
結果は右打者が55人、左打者が44人、両打ちが3人となっていました。
まだ、右打者のほうが数は多いですが、右利きと左利きの割合から考えるとかなり多いですよね。
2017年ドラフトから、最新の割合を探ってみると・・・
プロ野球全体で集計するとベテランや中堅選手もカウントに入ってしまうので、2017年のドラフトで指名された野手だけでも左打者の割合も調べてみました。
2017年ドラフトで指名された野手(育成を含む)は計55人でした。
その中での割合は、右打者が25人、左打者が29人、両打ちが1人でした。
やっぱり、最新の割合だと左打者の割合が増えて、右打者の数を超える逆転現象が起こっていましたね!
左打者のメリットとは?
冒頭で「右打者より左打者の方が有利」と書いた通り、左打者には右打者にはないメリットがあります。
内野安打が多くなる
左打者は右打者よりも一塁ベースに近い方のバッターボックスに入ることができます。
単純に距離が近いから一塁ベースに早く到達できるというのもありますが、他にも理由はあります。
思いっきりスイングをしたときに、ボールを打った後のバットに残ったエネルギーが、背中側の方向に働きます。
右打者だと一塁ベースとは反対にエネルギーが向かってしまい、そのエネルギーを自分で抑え込んでからスタートを切らざるおえません。
それに対し、左打者は走り出す方向とスイングのエネルギーの向きが一致しているため、スイングの後のスタートをスムーズに切ることができます。
そのため、脚の速さが同じ選手でも、左打者の方が右打者よりも一塁ベースに早く到達できるため、内野安打が増えて結果的に打率も高くなる傾向があります。
右投手に有利
投手にも右投げと左投げと、左右の違いがありますが、投手に関しては右投げの方が左投げよりも数が多いです。
打者に関しては利き手が右だけど左打ちという選手は多いですが、投手に関しては利き手で投げない選手なんてまずいないですよねw
一般的に、野球では右投手は右打者に強く、左打ちに弱い。
逆に、左投手は左打者に強く、右打者に弱いと言われています。
これは、投手が投げる角度や多投される変化球の曲がる方向などから来ているのですが、今回は説明を割愛します。
要するに、左打者は有利とされる右投手と対戦することの方が多いので、不利な右投手と多く対戦することになる右打者よりも、結果が残しやすいのです。
これは、あくまでも全体の結果から判断した傾向ですので、右打者だけど左投手より右投手からの方が打っているという選手もざらにいます。
左打ちが多くなっている理由
前述した、ドラフトの指名選手の左打者の割合を見ても、現在進行形で左打者が増えていることが分かったと思います。
日本にプロ野球ができて80年以上たつのに、なぜ今になって左打者が急増しているのでしょうか。
イチロー、松井秀喜の影響で右投げ左打ちの増加
イチロー選手と松井選手は近代の日本人選手の中では、実力・名声共に2大スターと言っても過言ではないですよね。
メジャーでも素晴らしい成績を残した二人ですが、二人にはある共通点があります。
それは「右投げ左打ち」ということです。
右投げ左打ちの選手のほとんどは、元々は右投げ右打ちだった選手がどこかのタイミングで親や指導者から進められるなどして、投げる方は右のまま左打ちになったという例が多いです。
昔から、左打者のメリットは知られていたため、小学生や中学生などの小さいころから左打ちに転向するということはありました。
それが、右投げ左打ちのイチロー選手と松井選手が素晴らしい成績を残したことで、指導者や親の中でそれが加速しました。
ふたりが一番成績を残していたのが10年ほど前ですから、現在ドラフトで入ってくる選手が野球を始めたての頃と年代が一致しますよね。
右投げ左打ちにはデメリットも・・・
一見メリットばかりにもみえる右投げ左打ちの選手の選手たちですが、デメリットもあると言われています。
野球の華と言えば一発で試合を決めることもあるホームランですが、野球でホームランを打つためには打球を遠くへ飛ばすことが重要ですよね。
打球を遠くへ飛ばすには後ろの手の押し手で、ボールを強く押し出すことが重要です。
右投げ右打ちや左投げ左打ちの選手は本来の利き手が押し手となるのですが、右投げ左打ちの選手は前の手の引き手が利き手となります。
引き手はボールにバットをコンタクトするバットコントロールの時に重要になるので、打率は残しやすくなると言われているのですが、押し手が利き手ではないのでパワーがない小さな選手になりやすいです。
その証拠に、2017年のセ・パ両リーグの打撃上位十傑を見てみると、
打率では右投げ右打ちが9人、右投げ左打ちが9人、左投げ左打ちが2人となっています。
しかし、ホームラン数では右投げ右打ちが13人、右投げ左打ちが5人、左投げ左打ちが2人となっています。
打率では右投げ左打ちが9人とおよそ半数を占めていましたが、パワーの必要なホームランとなると5人にまで減っています。
右投げ左打ちでも松井秀喜選手や筒香選手や柳田選手など、ホームランを量産できる選手はいますが、どちらかというと脚を使って塁に出るといった俊足巧打の選手が多い印象ですよね。
まとめ
いかかでしたでしょうか?
左打ちが近年増えてきていると書きましたが、これからまだまだ増えてくると思います。
今、ブレイク中の大谷翔平選手も右投げ左打ちですから、彼に憧れて真似するという子供たちがたくさん出てきそうですよね!
左打ちには転向するだけのメリットはあるのですが、チーム的には左だけが並ぶ打線より、右打者も混ぜたいでしょうから、あまり増えすぎては欲しくないですね。