「ファールボールはっや!当たったら絶対怪我する!怖い!」
野球を観戦したことがある人なら、一度はこういう感情を抱いたことがあるのではないでしょうか?
プロはもちろん高校野球でも強豪校とかになると、打ち損じのファールでもものすごく速いですよねw
私は、高校野球の県予選で横浜高校の試合を三塁側ベンチ上の中段ぐらいで観戦していた時に、ファールボールが肩に直撃した経験があります。
左打者がカットした打球だったので、さほど威力は強くなかったのですが、それでも息が止まるかと思うほど痛かったです。
(その時は、周りに人が多くて恥ずかしかったので、痛くないふりをしたのですが、次の日にでっかい青あざが出来てましたw)
その時から、疑問に思っているのですが、この打球が女性や老人に当たったら、普通に大けがするよなぁということです。
ということで今回は、ファールボールが観客に直撃して怪我をした時に、治療や賠償などはあるのか?死者がでたこともあるのか?などを過去の事例をもとに紹介していきたいと思います。
目次
ファールボールでの怪我は基本は自己責任
やはりプロ野球ではまれに、ファールボールが観客に直撃して怪我を負ってしまうという事件は起きています。
怪我を負ってしまった場合、怪我の具合によっては医務室で簡単な治療をしてもらうことはできるそうです。
しかし、そこから先は自己責任となるそうで、治療費や慰謝料などはもらえないそうです。
その、自己責任となる旨はチケットの裏の「試合観戦契約約款」に記載されています。
第13条 (責任の制限)
主催者及び球場管理者は、観客が被った以下の損害の賠償について責任を負わないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の責めに帰すべき事由による場合はこの限りでない。
(1) ホームラン・ボール、ファール・ボール、その他試合、ファンサービス行為又は練習行為に起因する損害
(2) 暴動、騒乱等の他の観客の行為に起因する損害
(3) 球場施設に起因する損害
(4) 本約款その他主催者の定める規則又は主催者の職員等の指示に反した観客の行為に起因する損害
(5) 第6条の入場拒否又は第10条の退場措置に起因する損害
(6) 前各号に定めるほか、試合観戦に際して、球場及びその管理区域内で発生した損害
前項但書の場合において、主催者又は球場管理者が負担する損害賠償の範囲は、治療費等の直接損害に限定されるものとし、逸失利益その他の間接損害及び特別損害は含まれないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の故意行為又は重過失行為に起因する損害についてはこの限りでない。
観客は、練習中のボール、ホームラン・ボール、ファール・ボール、ファンサービスのために投げ入れられたボール等の行方を常に注視し、自らが損害を被ることのないよう十分注意を払わなければならない。引用:NPB試合観戦契約約款
ようするには、ファールボールが飛んできて怪我をする可能性はあるので、それを理解したうえで観戦に来て、試合中は十分注意してください。
この危険性や注意する点を伝えたうえで、観戦に来てるのだからそれで事故が起きても自己責任ですよ?ということです。
少し冷たい対応のような感じもしますが、ファールボールを避けたり防いだりできる自信がない人は、打球が飛んでこない席を選べって話ですもんね。
もっと安全対策は強化できないの?
ファールボールで怪我をする人が出るのなら、「もっと防球ネットを増やしてライナー性の打球は飛んでこないようにすればいいじゃないか!」とも考えられますよね。
野球を主催している側も、怪我をさせたいたい訳じゃないんですから。
しかし、防球ネットを張りすぎてしまうと、野球観戦の臨場感が失われてしまうという難点もあります。
安全性をとるのか臨場感をとるのか難しいところですよね。
その他のファールボールに対する安全対策は、アナウンスによる注意の呼びかけや、フィールドシートの観客にヘルメットの貸し出しなどを行っています。
これまでの裁判での事例
ここまでファールボールで起きた事故は自己責任になるという話をしましたが、裁判で争われたこともあります。
その事例を紹介していきたいと思います。
2008年5月楽天戦での例
2008年の5月に仙台の楽天のホーム球場で、三塁側の内野席で観戦していた男性の右目にライナー性の打球が直撃してしまい、その影響で視力が0.3から0.03に下がってしまう事故が起きました。
男性はビールをちょうど足元に置いていてプレイを見ておらず、顔を上げた直後に打球が直撃してしまったそうです。
男性はこの事故は防球ネットの設置などの安全対策を怠っていた、楽天球団と球場の所有者である宮城県にあると主張し約4400万円の損害賠償を請求しました。
しかし裁判の結果、男性の請求は棄却されました。
理由としては、球場の安全対策は他球団と比べても劣っていることはなく、臨場感を失わない程度の安全性の確保としては適切だったということだそうです。
2010年8月日ハム戦での例
2010年の8月に札幌ドームで、内野席に座っていた女性の顔にファールボールが直撃し、顔面骨折に眼球破裂の重傷を負ってしまうという事故が起きました。
その女性は、日ハムの球団が招待した小学生の保護者として付き添いで観戦に来ていたそうです。
女性は安全対策を怠っていたとして、日ハム球団と札幌市などに約4650万の損害賠償をもとめました。
2審の結果、球団に約3357万円の支払いが命じられました。
一方、球場の所有者である札幌市と札幌ドームに対する請求は棄却されました。
理由は、球場の安全性自体は他球団と比べても劣ってはいないものの、この女性のような野球の知識が少ない観客に対しての安全配慮義務が欠けていたということでした。
野球の本場メジャーではどうしてるの?
結論から言うと、同じく自己責任という形を取っていました。
アメリカの球場は日本の球場と比べると、ファールグラウンドが狭く観客と打者の距離が近いうえに、防球ネットも少なく安全性より臨場感を重視しているようです。
なので、これまで死者も数人出ているそうです。
しかし、メジャーでも「野球観戦に来るということは、ファールボールによる危険性を理解したうえで来ているのだから自己責任」というルールが定着しているので、訴訟を起こしても門前払いされるケースがほとんどです。
折れたバットが飛んできたことも
先ほど説明した通り、メジャーは日本の球場と比べ防球ネットが少ないです。
なので、折れたバットが観客席に飛び込んで、怪我をしたということもあったそうです。
折れたバットは内野席で観戦していた男性の顔面に直撃し、鼻骨を骨折する怪我を負いました。
ボールと違って、バットは不規則に飛んできますし、折れた部分は尖っているでしょうからキャッチすることは不可能ですよね(;^_^A
しかし、男性が損害賠償を求めて裁判を起こした結果、観戦中に起きたリスクはファールボールと同じく自己責任をいう判断で、請求は棄却されました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ファールボールでの怪我は自己責任ということでしたが、さすがに失明や命に関わってくるとそれではダメな気がします。
しかし、防球ネットを張り巡らしてしまうと、臨場感がなくなってしまうという意見もよくわかります。
各自が気を付けて観戦するというのはもちろんなのですが、それだけで事故が防げるかというと無理だと思います。
球団もグラウンドシートなどを新設して臨場感を上げるのは結構ですが、危険が予想される席の観客や子供たちにはヘルメットを貸し出して、着用を義務付けるなどの安全対策もしっかり行ってほしいです。